0からラーメンとは

0からラーメンについて

FR0M SCRATCH ラーメンプロジェクト ロゴ

FR0M SCRATCHでは様々な、「身近にあって当たり前のもの」を0から作ることに挑戦しています (詳細を知りたい方はこちらをお読みください)。

その中でも、第一弾のプロジェクトとして、0から鶏塩ラーメンを作りました。
0からというのは、麺を打ったりするのはもちろんのこと、その小麦を畑で0から育てたり、藻塩という瀬戸内海で古墳時代から行われていたという方法で作る塩を、実際に現地で製塩することです。

他にも包丁やラーメンのどんぶりの制作など、できる限り0からに挑戦して最終形態「鶏塩ラーメン」を完成させました。

完成品

なお植物など季節に左右される活動なので、空いている時間には創作ラーメンを作ったりもしています。

その他の試作や細かい活動は公式のnoteでも公開していますので、ぜひお楽しみください。

大まかな取り組み

だいたいはじめた時期順で並んでいます。

上記はそれぞれリンクから現状に飛ぶことができます。

やること・やっていること・やったこと

私たちは2018年の秋から実際に活動をはじめました。去る2019年11月29日にすべての材料を組み合わせた究極の、0から「鶏塩ラーメン」を完成させ、美味しくいただきました。

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小麦

小麦は2018年の10月に植え始めて、2019年の6月まで育てた後、収穫しました。

10月の植えた頃の様子

10月頃の植えた様子

収穫直前の様子

収穫直前の様子

刈り取り後

刈り取り後

脱穀風景

脱穀風景

このあと、籾殻やゴミと粒を篩ったり吹き飛ばして分別します。

そしてそれをミルで挽いて、ふすまと粉をふるいで分別することで、小麦粉の完成です。

小麦をミルで挽いているところ

ふるったあとの状態

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このプロジェクトが始まって以来、2018年の11月から、私たちはずっと鶏の問題を解決しようと奮闘しています。

2019年の8月ごろ、ようやく有精卵と孵卵器の目処はたったものの、鶏を飼うというのは思っていたよりも難しく、衛生面や倫理的問題で解決しなければならない問題が山積みでした。それをなんとか解決し、自分たちで卵から孵して、しめて、鶏肉にするところまでを行いました。

まず、卵を香川県の孵卵場の方が売ってくださるということで、9月の頭に卵を5つ買う旅に出ました。
その後、孵卵器にて3週間ほど卵を温めます。すると、雛が孵りました。

生まれたての雛

ひよこからある程度成体になるまで、さらに3週間、暖かいところで育てます。

生後3週間の鶏

今回は、鶏を外で育てるためのトラクターも自作しました。

チキントラクター

そして、2019年の11月終わり、卵を手に入れてから約3ヶ月、彼らは立派に鶏として育っていました。(小さいもの: 1.4kg、大きいもの: 2.3kg)

育った鶏

そして11月28日、

の過程を経て、無事鶏肉となったのでした。彼らの命に感謝です。

鶏肉

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塩は藻塩というものを、2019年の3月に広島県の瀬戸内海に面した上穂刈島で藻塩の会さんのもとで作り、無事終了しています。

藻塩とは、藻を利用することで海水から生成する塩のことで、普通に作られる塩よりもミネラル分が豊富な塩です。

塩作りといえば塩田が有名ではありますが、塩田の原型となるものが実際に広く使われるようになったのは8世紀頃と言われています。

藻塩というのは、それまで使われていた方法で、なぜこの方法が主流だったかといえば、海水の塩分濃度は3%で、1kgの海水をもってきても30gの塩しかできない計算になり、海水をそのまま塩にするのはとても大変な仕事になってしまうからだと言われています。
かわりに藻を使い、藻を海水につけては乾燥させ、を繰り返すと塩分濃度は10%を超えるのです。
最終的に藻を燃やして灰にしてしまい、その灰を水に溶かし、上澄み液を繰り返し煮詰めていくことで藻塩は出来上がります。

これが煮詰めているところです。

煮詰めている場面

そしてこれを煮詰め続けると、このようになり完成です。

完成

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どんぶり

ラーメンどんぶりは、武蔵境にある陶芸教室「MG陶SPACE」さんのもとで、陶芸体験という形で2019年の4月から5月にかけてメンバー全員で作り、無事に完成しました。

まずは様々な土に表面をコーティングするための釉薬というものをかけた3cm四方ほどの大量のサンプルから、完成形の大体のイメージをもとに土を選んでいきます。

そうしたら土を練り、空気を抜いていきます。全体の工程に言えるのですが、空気が入ってしまうと焼いたときに膨張して割れる原因になるそうです。

今回は電気ろくろは使わず、手びねりで作っていきました。

どんぶり

ある程度の高さまで土台を作ったら、紐作りという作業に移ります。土台の上にひも状に伸ばした新しい粘土を上に重ね、違和感のないように馴染ませながら高さを出していきます。
広げるのはかんたんで、気を抜くとあっという間にラーメンどんぶりがパン皿になってしまいます。高さを出すことをとにかく考えながら、形を整えていきます。

なお紐作りで高さを出す前に、少し乾燥させ自重に耐えられるようにします。土の丁度いい硬さの具合の判断は豊富な経験を必要とするので、先生の下で管理していただきます。

そして模様などをつけたら、乾燥させた後、素焼きの工程が入ります。

無事にひび割れなく素焼きができたら、自分たちで釉薬掛けも行っていきます。

釉薬掛け

そして各々上絵付けをしたら、本焼きし、冷まして完成です。

完成した姿に実際作った創作ラーメンを盛ってみました。メンバーそれぞれの個性が出ているので、FR0M SCRATCHのYouTubeチャンネルやInstagram、Twitterをフォローしているとどこかで出会うことでしょう。

完成した器にラーメンを盛り付けてみた写真

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包丁

包丁は福井県の鍛治職人のもとで、越前打ちと呼ばれる手法をもちいて2019年の5月に作りました。越前打ちとは14世紀頃に始まった手法で、元々は鎌を作るのにもちいられていました。

まず初めに、地鉄と炭素鋼が接合した長い棒を炉で熱します。
炉は空気の送り込みを制御することで火力の調整が可能です。

炉の様子の写真

十分熱して柔らかくなったところで取り出し、ハンマーで叩いて広げていきます。

ハンマーで叩いている場面の写真

普通に一方向から叩くだけでは四方八方に広がってしまうので、適切なタイミングで棒を立てて垂直方向からも叩いていきます。
このように2方向から叩くことで先へ先へと伸びていき、少しずつ包丁の形へ近づいていきます。

冷えてきたらまた炉に戻しもう一度熱し、同じ作業を繰り返します。

刃の部分が完成したら柄の中に入る部分を伸ばしていきます。
垂直方向から多く叩くことで細く出来ます。

その後棒から切り取り、しばらく放置して冷やします。

冷ましている場面の写真

冷えたらハンマーで全体を叩いてならす荒仕上げという作業に入ります。

ならした後に余計な部分を切り落とす成型をし、包丁を約800度で熱する焼入れという作業に入ります。
十分熱したところで取り出し水に浸けて急激に冷やします。
この作業により鋼の強度が向上します。

次に包丁を研いでいきます。荒研ぎから始めていき約4段階で研ぐことで優れた切れ味を得ます。

最後に柄を浸けて完成です。

包丁の完成した写真

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昆布

昆布は北海道利尻島へ2019年の6月から7月にかけて地元の漁師さんのもとで採りに行きました。

養殖昆布は海の中で2本の支柱の間にはられたロープに、洗濯物のように連なっています。そして収穫の際は船で沖へ出た後、このロープを手繰り寄せて船に積み込みます。

そして水揚げされた後、ロープから手作業で1つずつ根の部分をカットされて1本の長い昆布となります。

カット中の写真

そしてその長い昆布は、規格の長さにまたカットされ、乾燥の工程を経て、よく知られた昆布として出荷されます。

乾燥の様子

実際、昆布の乾燥には4~5年ほどかかるそうなので、私たちは昆布を乾かす作業を手伝わさせていただき、4~5年経ったものを頂いてきました。

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かん水

かん水とは、中華麺がうどんなどとは異なるための、重要な要素です。
これが入ることで、中華麺独特の黄色い色が出て、またアルカリ性になるのです。

今回は、海辺で拾ってきた海藻を、灰になるまで燃やして作りました。
最後に残った灰を水に溶かすと、かん水として利用できるのです。

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0から作った鶏塩ラーメン

WIP

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今後について

ここまでが現状についてでしたが、ここからはこれからのことについてです。

私たちはこのプロジェクトをどのような方向性にするべきか、ずっと悩み、話し合って舵を切っています。
今後もメンバーの話し合いを主体とした形を崩すことはないと思われます。

そして、各々がFR0M SCRATCHメンバーとして動く中で、この活動自体や、活動を通して知り合った「ひと」や「こと」から新たに見えてくる価値に気づき、それらを多くの人に伝えたい、という意見が自然と出てくるようになりました。

それに、このメンバーたちはもともとクリエイティブな活動を好む者が多く、なにかを作り出したり表現していくことに意欲的です。

なので、今後はより主体的な発信多めの、FR0M SCRATCH (フロムスクラッチ)として皆様にお届けできたらと思っております。

これからもよろしくおねがいします。

Special Thanks

私たちの活動は、ある道を人生をかけて極めてきた人や、その方々の信じられないほどのご厚意によって支えられています。職人さんや漁師さん、陶芸家の方、そういった方々の支援と寛大なご厚情なしでは絶対に成り立たない活動なのだということを、身を持って感じ感謝しております。
そして私たちの普段の生活も、その不断の努力と汗とご厚意により、はじめて「普段」になっているのだということを、改めて知りその存在の大きさに驚くとともに、感謝してもしたりることはないと、強く強く思うのです。

ここに、末筆で大変申し訳ありませんが、感謝の気持ちを込めて、お世話になった方々のお名前や会社名、Webサイトなどを載せさせていただきます。

改めて、大変ありがとうございました。

そして今後ともよろしくおねがいします。